@article{oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00013872, author = {永谷, 健 and Nagatani, Ken}, journal = {人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要, Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 昭和戦前期は所得や資産の個人間格差が社会問題化するとともに、富者に対する大衆的な批判が高揚した時期である。富者への批判の高揚は、テロリズム時代の到来の誘因として重要である。当時の新聞や雑誌は大会社の資本を掌握する実業エリートの諸活動について頻繁に報道したが、報道の過程で彼らと大衆のあいだの非寛容的な関係が浮き彫りになった。とくに血盟団事件の前に生じた鐘紡の減給問題と三井のドル買い事件は、そうした関係が露呈していく契機となった。温情主義による工場管理で知られた鐘紡の大規模争議を諸新聞は一斉に報じたが、これにより、実業家たちが信奉する温情主義の時代錯誤性や彼らの偽善的なイメージがクローズアップされた。また、諸新聞は三井銀行のドル買いを財閥の思惑買いとして報道し、社会民衆党による三井への抗議を詳細に伝えるなかで、財閥の国益軽視や利己的な姿勢を印象づけた。報道の過程では、実業家の言動の実務的な根拠が等閑視されるとともに、言動そのものの大衆的な意味や象徴性がクローズアップされた。すなわち、実業家の専門的な判断が大衆的な批判の潮流とのあいだで齟齬をきたす状況が、そこには観察される。そして、同じ齟齬は、血盟団事件で実業家の暗殺を企画した井上昭と古内栄司による財閥批判にも観察される。当時は実業エリートによる言動の実務的な正当性よりも、彼らと大衆の関係の非寛容性という文脈に照らした言動の意味が、第一に問われたのである。}, pages = {53--63}, title = {昭和戦前期における実業エリートと大衆社会}, volume = {37}, year = {2020}, yomi = {ナガタニ, ケン} }