@article{oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00014100, author = {田中, 綾乃 and Tanaka, Ayano}, journal = {人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要, Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 2020年は世界中で新型コロナウイルス感染拡大という事態に見舞われた年だった。人類の歴史を振り返れば、常に感染症との闘いであったわけだが、今回の新型コロナウイルスの特徴は、グローバル化の中において、同時多発に世界各国でパンデミックとなった点である。大勢の人々が集うことが感染拡大を引き起こすと言われ、人々の行動や移動が制限されると同時に、国によっては都市封鎖などの対策もなされた。 私たちの生活様式がこれまでと大きく変化する中、特に不要不急とみなされる芸術文化の分野は多大な打撃を受けることになった。2020年前半は、世界中の劇場やコンサートホール、美術館などの文化施設が一斉に休館となり、それによってアーティストの活動も制限された。このような中、ドイツのモニカ・グリュッタース文化相は「アーティストは、必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要だ」iと声明文を出し、いち早くアーティスト支援を行った。また、メルケル首相もコロナ禍において「文化支援の課題は、連邦政府による優先順位リストの最上位にある」と述べ、ドイツを「文化の国(ein Land der Kultur)」と呼んだ。 芸術および文化を私たちの生活において必要不可欠な存在であることを示したドイツ政府の姿勢の背景には、近代以降「文化国家(Kulturstaat)」iiと呼ばれてきたドイツの歴史に基づくものであることは推測される。それと同時に、18世紀において美や芸術の問題を体系的に論じたカント美学がドイツをはじめヨーロッパの芸術概念に影響を与えたことも一因であろう。 カントは『判断力批判』(1790)の冒頭で趣味判断が「生の感情(Lebensgefühl)」と関係づけられていることを示し、『実用的見地における人間学』(以下、『人間学』)(1798)では演劇が「生の促進(Beförderung des Lebens)」をもたらすものであることを論じている。本稿ではこの点に着目をし、「生の促進」と呼ばれる演劇とは一体どのような芸術であり、「生の促進」をもたらすとはどのようなことなのかをカント美学に即して考察する。}, pages = {17--24}, title = {「生の促進」としての演劇 ―カント美学を手がかりに―}, volume = {38}, year = {2021}, yomi = {タナカ, アヤノ} }