@article{oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00014101, author = {永谷, 健 and Nagatani, Ken}, journal = {人文論叢 : 三重大学人文学部文化学科研究紀要, Jinbun Ronso: Bulletin of the Faculty of Humanities, Law and Economics}, month = {Mar}, note = {application/pdf, 「格差」の拡大や諸階層間の非寛容性が社会問題化している点で、現代日本は昭和初期の日本と類似していると言われる。当時の日本では超格差社会が現出していたが、それが戦時体制へと変貌を遂げていくメカニズムを解明することは、現代日本が抱える諸問題の行方を考察するためにも重要な研究課題である。労資間の闘争に象徴される昭和初期の二極対立的な構図は、その後、社会統合の融和的な局面へと劇的に変化した。そして、その変化は戦時体制へと帰着する。そうした一連のプロセスに、財閥の「転向」策は深く関わっていた。「転向」は池田成彬が主導した三井の諸策を嚆矢とするものであり、富者に対する大衆的な批判や攻撃を緩和するとともに、富者を取り巻く対立的な構図に融和への道筋をつけた。その内容は、財閥が保有する巨額資産の放出にもとづく社会事業への貢献、保有株式の大量放出・大量公開による株主の大衆化、三井一族による経営サイドからの離脱などである。それらは、財閥(およびその経営者)と大衆のあいだの相互浸透的な融和を資金と人材の両面で演出した。また、それらは取引的な形式の策ではなく、したがって、労働者や若年層などという限定された社会階層に提示され、彼らに利益を誘導するというものではなかった。むしろ、不特定の大衆に向かって投げかけられた策であった。「転向」策のそうした匿名的でノンパーソナルな特色は、社会統合や平準化へと進んでいく時代の推進力の一部となった。}, pages = {25--36}, title = {時代の転換期における社会統合 ―戦前期財閥の「転向」策をめぐって―}, volume = {38}, year = {2021}, yomi = {ナガタニ, ケン} }