@article{oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00014135, author = {馬原, 潤二 and Mahara, Junji}, journal = {三重大学教育学部研究紀要 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学・教育実践, Bulletin of the Faculty of Education, Mie University. Natural Science, Humanities, Social Science, Education, Educational Practice}, month = {Feb}, note = {application/pdf, 本論は、軍事博物館を国家の政治的自己主張の場と捉え、その政治的機能の特質と問題点を現代ヨーロッパの事例から検討するにあたって必要となる三つの情報について整理し、問題の所在を確認しようとするものである。 まず、軍事博物館の政治的役割について。軍事博物館は戦史展示をとおして人々に国家の「見せたい歴史」と「望ましい国民像」を提示し、人々の国民化を図ることによって国民国家の維持発展を下支えする役割を負っている。ナショナル・ヒストリー形成の一角を担うことによって、歴史認識の次元で国民統合を行う「知のロジスティックス」となっているのである。次いで、現代ヨーロッパに注目する理由について。ヨーロッパは軍事博物館発祥の地であるが、二〇世紀の時代経験から、欧州統合により国民国家を相対化するとともに、アイデンティティの分散という事態を生じている。ここでは、軍事博物館に軍事博物館たることを否定するよう迫るエートスが醸成されつつあり、その変革の様相が今後の国民意識のあり方を考えるうえでの試金石となりうるがゆえに注目に値する。最後に、軍事博物館の変化を支える歴史的方法論について。今日、ヨーロッパでは「新しい軍事史」という新たな学説が登場し、ナショナル・ヒストリーを支える伝統的な「大文字」の歴史観の克服を迫って軍事博物館に内側から変革を迫るファクターになっている。この動きは、軍事博物館のむかうべき新たな方向性を示唆している点で非常に興味深い。 以上から、軍事博物館の「今・ここ」の姿を把握し、その政治的機能のアクチュアリティを問い直すためには、現代ヨーロッパの事例への比較検討が欠かせないということを確認した。}, pages = {147--172}, title = {現代ヨーロッパ軍事博物館の政治理論的考察のために ―その比較考察のためのいくつかの前提的整理―}, volume = {72}, year = {2021}, yomi = {マハラ, ジュンジ} }