@phdthesis{oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00015214, author = {松川, 沙弥果}, month = {Sep}, note = {application/pdf, 本論文は,円筒形誘電体導波路におけるマイクロ波導波モードを用いたパイプラインの非破壊検査に関する研究の成果をまとめたものである. 地中埋設パイプラインに利用されているFiber-glass-Reinforced Plastic Mortar (FRPM)管がマイクロ波に対して低損失な円筒形誘電体導波路としての性質を有することに着日し,パイプラインの破損要因である管底に残された転石等の異物を検査するための手法として,マイクロ波導波モードの時間領域応答,空間分布制御,タルボットパターンを用いた検査法を開発した. 以下に各章の概要を示す. 第1章では,本研究の背景として, FRPM管の特長や用途,非破壊検査の必要性について述べる.その後,先行研究として,超音波やX線, MRI等を用いたパイプラインの非破壊検査法について説明し,提案するマイクロ波導波モードを用いた検査法の特長や本研究の日的について述べる. 第2章では,本研究において重要な円筒形誘電体導波路におけるマイクロ波伝搬モードについて述べる.円筒形誘電体導波路を伝搬するマイクロ波導波モードの円筒関数を用いた解析解を示し, FRPM管壁に沿って伝搬するマイクロ波モードの特性を明らかにする.実験により, FRPM管壁において2GHzから6GHzのマイクロ波TE導波モードが高い結合効率で励振されることが分かり,励振されたマイクロ波は管壁に沿って広がりながら最短経路や周回経路を伝搬して時系列侶号として検出されることを実証した.この結果は,第3章,第4章,第5章で述べるマイクロ波導波モードの特性を利用した非破壊検査法の基礎となるものである. 第3章では,マイクロ波導波モードの時間領域応答を用いた円筒形パイプラインの非破壊検査法を提案する.第2章の伝搬モード解析で求めたFRPM管におけるマイクロ波導波モードは,円筒形誘電体のコア領域に強く閉じ込められるため,管壁に垂直な方向には一定の電磁界分布を維持したまま円筒軸方向に伝搬する. したがって, ラインアンテナを用いてFRPM管に沿って伝搬するマイクロ波を励振すると,径方向(管壁に垂直な方向)には最低次数のモードに対応する電磁界分布を持ち,円周方向には複数のモードに対応する分布を持つマイクロ波導波モードの重ね合わせで表されることになる.ここで,マイクロ波のエネルギーはFRPMのコア領域に強く閉じ込められているため,円筒形導波路は周期境界条件を持つスラブ導波路と等価であると考えることができる. このスラブ導波路を用いることで,管壁に沿って広がりながら伝搬するマイクロ波信号を,遅延時間/伝搬経路の異なる複数の信号の重なりとして表すことのできる管壁伝搬モデルを構築した. このモデルを用いて実際のFRPM管に沿って伝搬するマイクロ波の解析を行い,実験結果と比較検討した結果,管壁外側の金属片やコンクリートブロック,ウッドブロックの位置と大きさの特定に成功した.本手法は内径・外径や材質の異なる配管にも適用することができ,効率的かつ非破壊的なパイプライン検査が可能となる. 第4章では,最短経路波と周回経路波のマイクロ波の干渉に着目し,マイクロ波導波モードの空間分布制御を用いたパイプラインの非破壊検査法を提案する.複数のダイポールアンテナをFRPM管壁に沿って配置させて,円筒形誘電体導波路におけるフェーズドアレイアンテナとして動作させることで, FRPM管壁に沿って伝搬するマイクロ波を空間的に制御できることを明らかにした. これより,管壁外側にある不要な異物にマイクロ波を集束させることができるため,異物によるマイクロ波の反射.散乱を利用して,異物を精度良く検出することが可能である.本章では,マイクロ波導波モードの空間分布を制御することで, FRPM管の管壁外側にあるコンクリートブロックを検出できることを実証した結果を示す. さらに, この技術と時間領域応答を用いた検杏法を組み合わせることで,より小さいサイズの異物を検出することが可能になり, 30mmx30 mmのコンクリートブロックや転石を検出できることを明らかにした時間・空間制御法は,地中埋設パイプラインに深刻な問題を引き起こす大きさの異物(転石,枕木等)を選択的に検出するための手法として適している. 第5章では,円筒形誘電体導波路上におけるタルボットパターンを用いたパイプラインの非破壊検査法を提案する.配管の円周方向の周期性を利用してマイクロ波導波モードを励振し,その空間分布を制御することにより, FRPM管の管壁上でタルボット効果のような周期的なパターンを観測することに成功した.さらに,隣接するアンテナ間の位相関係を調整することで,タルボットパターンの最大値と最小値の位置を制御できることを明らかにした.また, FRPM管の外面に不要な異物としてコンクリートブロックを設置したところ,周期的なパターンが乱れ,異物の位置を特定することに成功した. これより,管壁上のタルボットパターンをアンテナやElectro-Optic (EO)センサ等でスキャンすることで,管壁外側にあるコンクリートブロックを検出できることを実証した.本手法では2.4GHz帯の狭帯域(数MHz)マイクロ波信号のみを用いた検査が可能であり,欧州,北米,日本などの各国における免許不要バンドのマイクロ波を用いてパイプラインの非破壊検査を行うことが可能であると考えられる. 第6章では,結論として,第2章から第5章までの研究成果を総括し,結論と今後の展望について述べる., 本文/三重大学大学院 工学研究科 博士後期課程 材料科学専攻, 124p}, school = {三重大学}, title = {円筒形誘電体導波路におけるマイクロ波導波モードを用いたパイプラインの非破壊検査に関する研究}, year = {2021}, yomi = {マツカワ, サヤカ} }