@misc{oai:mie-u.repo.nii.ac.jp:00009917, author = {木下, 誠一 and Kinoshita, Seiichi}, month = {Jan}, note = {application/pdf, 1章~第2章 研究の背景・日的・方法本研究は、その必要性が社会的に重要な課題として受けとめられている居場所に着目し、経験的で試行錯誤的に取り組まれている居場所づくりに対して有効となり得る、居場所としての地域施設の計画的要件を明らかにすることを目的とする。なお、居場所とは、『物理的・対人的環境を拠り所に安心して居られる場所』と定義した。本研究の特徴は、関連する既往研究の多くにみられるように対象を特定の建築種、属性に限定するのではなく、また、施設内部の居場所選択行動だけでなく地域における施設選択構造にも焦点を当て、居場所を支える運営面にも着目することで、多様な居場所を総合的に把握・整理し、ハード・ソフト両面から計画的指針を得ようとする点が特徴的である。第3章 地域住民の居場所の選択特性そもそも人々はどのような場所を居場所とし、地域施設はどのような位置づけにあるのかについて、必ずしも既往研究で明らかになっていない。そこで、三重県の地域特性が異なる4地区を調査対象に選定し、地域住民の居場所選択の実態やニーズを、アンケート調査をもとにマクロに統計的に捉え、地域施設の選択要因について、属性別、ライフスタイル別、地域別、組織活動参加状況などの観点から分析し、地域住民の居場所の選択特性を概観した。その結果、居場所選択の実態では、一人当たりの選択場所数は、加齢に伴い減少し、選択場所は自宅、民間施設は減少し、公共施設は増加する傾向にあり、若年層と高齢層では対照的な特徴がみられることが明らかとなった。また、施設整備状況や自然環境などの地域特性が施設選択に顕著に影響し、5つに類型化したライフスタイルの観点からもタイプ別に特徴がみられた。特に、地域施設の選択は、地域活動の参加有無が関係し、参加層は公共施設を主に選択し、不参加層は民間施設を選択する傾向にあることがわかった。地域活動では、多くの団体が活動拠点を有し、主に公的集会施設を選択していた。居場所の選択要因では、施設サービスよりも場所における人間関係やアクセス面が重視されており、居場所として地域施設に求める共通因子(5因子)を見出した。このうち「社会的」「個人的」は他者との人間関係の状態を表すことから、物理的空間だけでなく、誰と過ごせる環境かが重要であることを指摘した。第4章 高齢者施設における居場所の選択特性交通手段や経済面などで制約があり、特に地域施設における居場所整備の必要性が高いとみられる高齢者と中高生は、共通点を有する一方、所属組織の有無や身体能力、余暇時間の長さなど、対照的な性格も持ち合わせており、第3章においても選択特性に違いがみられた。そこで、代表的な高齢者専用施設である老人福祉センターを対象に、施設における高齢者の過ごし方の実態を担え、居場所選択に及ぼす影響が大きいとみられる他者との人間関係に着目し、施設及び諸室選択との関係について捉えた。その結果、利用者の7割以上がほぼ毎日利用し、常連化している実態が窺え、高齢者の過ごし方をみると、運営上、基本的に利用者の自主性を尊重していることから、利用者個人が主体的に多種の施設サービスを利用して過ごしていることがわかった。その多様な過ごし方を、利用頻度、滞在時間をもとに6タイプに類型化し、整理した。他者との人間関係と施設及び諸室選択との関係については、高齢者の約8割が「交流」を期待して訪れており、主に口コミで利用するようになり、次第に習慣化、常連化していくとみられる。施設選択では、複数の施設を使い分けたり、最寄施設を利用せずに、人間関係やプライバシー等の理由から遠方施設を選択する実態が捉えられた。また、他者との交流意識を、その親密度の度合いによって4タイプに類型化したところ、交流型と非交流型では利用諸室の選択に違いがみられ、交流タイプと過ごし方の類型や滞在時間にも特徴的な関係がみられた。第5章 中高生の居場所の選択特性第5章では、中高生の「居場所」について、様々な施設種、規模、設え、運営形態などを有する三重県の「青少年居場所づくり」の取組事例を対象に、施設の立地・空間、運営特性を比較分析を行うことによって把握するとともに、「居場所」の立地・空間、運営特性が他者との人間関係に及ぼす影響について捉えた。その結果、一般の中高生の居場所選択では、商業娯楽施設が中心となっており、その選択要因として、立地の良さや無料であることが基礎的要因となっていることが明らかとなった。居場所づくり行う調査対象施設を4タイプに分類し、特徴をみたところ、近隣型は、他者と親密な関係を形成できる施設、広域型は、人間関係よりも個人の利用目的を優先する施設として選択される傾向にあり、近隣型(公共)は、目的を共有した仲間と一緒に利用できる施設、近隣型(民間)は、特定の利用日的をもたず、雰囲気を享受しながら仲間と過ごせる施設として選択される傾向にあることがわかった。この要因として、施設規模(広域型:大規模、近隣型:小規模)、諸室構成や設えなどの空間特性、そして運営者の存在と関わり方、プログラムの有無といった運営形態が他者との親密度や居場所選択にも影響していることがわかった。第6章 居場所モデルの構築と計画的要件居場所を計画する上で有効となり得る居場所モデルの構築及び計画的要件・計画手法を提示した。まず、利用特性の観点から、居場所の性格を特徴づける評価軸として、「人間関係(不特定/特定)」と「空間(滞在性・高/滞在性・低)」の2軸を設定し、これら2軸をクロスすることによって「自習室型」、「ロビー型」「サロン型」「集会室型」の4タイプを見出した。また、運営特性の観点から、「利用制限(限定/自由)」と「交流活動支援(あり/なし)」の2軸を設定し、その組み合わせから4タイプに分類した。そして、利用特性と運営特性の軸である、「人間関係」と「交流活動支援」は他者との人間関係の構築という点で、また、「空間」と「利用制限」は活動目的への適合という点で密接な関係にあると考えられるため、両者を重ね合わせることにより、空間及び運営をワンセットにした居場所モデルを構築した。この居場所モデルをもとに計画的要件を整理し、具体的な計画手法について考察した(「居場所への立地アクセス」、「居場所の配置と連携」、「居場所の複合化」、「居場所の空間と運営」)。第7章 結論各章のまとめと今後、居場所としての地域施設計画を行う上での展望と課題について述べ、結論とした。以上, 三重大学大学院工学研究科博士後期課程, 2, 157p}, title = {居場所としての地域施設計画に関する研究}, year = {2009} }